夜の柩

語るに落ちる

夢と現の狭間に微睡む

 
最近、よく夢をみる。

夕暮れに差し掛かる太陽。何もない一本道を歩き続けている。どうしてこんなところを歩いているのかわからない、どこへ向かっているのかもわからない。ただ、着の身着のままで歩いている。人もいない。動物もいない。何も持っていない。ずっと歩いて、あるところで道が途切れる。目の前にいつの間にか樹木が生い茂っていて、そこを掻き分けて進む。小枝を避けて、くぐって、歩き続けて、時々地面に張った根に足を取られながら。そうしてようやく出た先は、広場のようにだだっ広い円状の、草花が咲いている場所だった。花の名前はわからない。見覚えがあるような、ないような。多分記憶にある植物が融合したものだと思う。キメラ植物。淡い色、濃い色、毒々しい色。それらが、ほぼ沈みかけている陽の光を浴びていた。倒れて腐りかけている大木に寄りかかるように腰を下ろす。見上げた空は橙の色をして、これもこれで目に痛いなぁと思った。一瞬だけ目を閉じて、次に開いた時は夜の空で、所狭しと瞬く星が四方八方散り散りに流れて消えた。綺麗だ。ここから見ると本当に綺麗だけど、あの流れた星はどこにかえったんだろう。このまま、どこへかえればいいんだろう。ぼんやりした気持ちが生まれて、どうにも耐えきれずにまた目を閉じる。

そこで目が覚めた。アラームが鳴る時間より30分早い目覚めで外はまだ薄暗い。いつもと変わらない自分の部屋の自分のベッド。他のどこでもないよく知った場所。

今日見た夢はまだ穏やかなものだけど、上手く眠れていないことには変わりなく。それでも嫌な夢や怖い夢ではないだけで気持ち的にはマシだった。どうしようもない虚無は残ってしまったけど。

占いとかに詳しい訳でもなければ深く信じている訳でもない。調べても求めている状況や答えが出てくることもない。上澄みの言葉を掬っても底の方には辿り着けないと思う辺り、仮に意味を知ってもなんの気休めにもならない。最悪の場合もある。夢の分析にも色々あって何を主にするかで意味が全く変わることもわかっているし、そこが面白いところでもあると思うけど。

寝付きも含めて、夜中に目を覚まさずに、夢も見ずに朝まで上手く眠るために自力でできることは試した。そのうえでこれなら、あとはもう気絶するまで起きているしかない。薬は効き過ぎて生活や仕事に影響が出てしまうからそれは最終手段として取っておいている。いよいよという時までは悪足掻きをしたい。

そんなんだから手遅れになるんだと叱ってくれる人は、もういない。