夜の柩

語るに落ちる

昼下がりの妄想も明後日に逞しく

 
祝日だけど外に出た。携帯ショップに来店予約を入れたために外に出る理由ができてしまった。コロナが始まってからなんでも予約をしないといけなくなって、行けそうな時に行っても門前払いをされることが多くなったからすっかりと足が遠のいた場所も多い。携帯ショップもそのひとつ。それでも重い腰を上げて、しばらく放っていたプランの見直しをするべく着替えて準備をして外に出た。

待ち時間と説明と手続きとで結局二時間程かかり、椅子に座って待っている間に襲い来る眠気とも戦い、終わる頃には疲労困憊だった。動画で説明を流している間に必要な手続きは進められて、確認することも大分簡略化されていたけど、ここら辺が限界なのかもしれない。

道中、いつの間にか建物の一角に餃子の無人販売が出来ていた。お金を入れると扉が開くタイプの自販機。餃子食べたいなぁと思っていたから心惹かれるものがあったけど、どうにも宜しくない方向に妄想が逞しく働くので『この無人販売の建物の中に入ったら扉の鍵が自動でかかり、何かを必ず買うまでここから出してもらえないどころか一定の時間が経過したら壁から機械の腕が出てきて捕まってどこかへ連れ去られるんだ。そうして自分もまた餃子の具材に……』等という世にも恐ろしい展開が脳内で勝手に繰り広げられ、なんとなく扉へ伸ばした手を戻し、大人しく家の方角へと足を向けた。自分がミンチになる心配はなくなったけど、餃子食べたい欲はしばらく満たされそうもない。そんな祝日の昼下がり。