例えば指の先にのせられる程度には残っていたはずの夢だとか希望だとか展望だとか。そういうものを思い出したように眺めてみては、ささやかなそれが手に入らないことを思い知って目を伏せる。どうしたって、どう足掻いたって、目指していたものは遠いのだと悟る。それは絶望でもあるし、ほんの少しの安堵でもある。そんなことばかりを繰り返す部屋には夜の帳が下りていて、このまま夜が明けなければいいのにと思ってしまう。
明けない夜があってもいい。泣くことを忘れた心が僅かでも穏やかになれるから。明るい空の下では、この身と心を隠す術がどこにもない。どうか白日に暴かないでほしい、こんな弱さを。