夜の柩

語るに落ちる

日記

翅の一枚にもきっと虫生がある

虫は全般苦手だ。特に足の速いやつと飛んでくるやつ。足の速い方は目を離した隙に跡形もなく姿を消しているし、飛んでくる方はなぜか顔面に向かって突っ込んでくる。前者はいつどこで再会するかわからない恐怖に怯えることになり、後者は威嚇という名の喧嘩…

鞄の中の小宇宙

鞄を変える時、いつも困る。一つ買ったら草臥れるまで使い続けるけど、どうしてもこの服装にこの鞄は似合わないという問題が発生することがある。それを回避するために、ここ数年で2、3個違うタイプの鞄を用意しておくようになった。そこまではいい。一番の…

とりあえず、積んどく

買った本を積んでしまう。本屋や図書館は住みたいくらいに好きで、休日の開店時間から行こうものならほぼ一日そこに入り浸るくらいだ。その中で気になった本を買ったり借りたりするのだけど、自分の手元に来たという安心感が勝るのかなんなのか、すぐに本を…

書くということ

書く。描く。どちらかといえば、専ら書く側だ。昔は描く方が多かったのにいつの間にか書く方になった。というのも、描いているうちに色の識別が正しくできていないことに気づいたからだ。色盲というほどではない色弱ではあるけど、自分が知っている色は本物…

紫煙を燻らせる夜

夜中にふと目が覚めた時に窓をあけて煙草を喫う。いつも眠りが浅くて少しの物音でも起きてしまう。しばらく眠れないこともザラにある。時間的にも誰かに連絡できないし、そもそも連絡をするような相手もいない。いや、いるにはいるが、一言連絡を入れること…

心ここにあらず

ふとした瞬間にここではないどこかへ行きたくなる。思えばずっと、それこそ子どもの頃からずっと、心のどこかでここではないどこかへ行きたいと思っている気がする。実家は安心できる場所ではないし、学校も面白くなかったし、地元自体好きではなかった。 最…

たまご料理

自炊をちゃんとするようになってから、材料や手順は単純だけどむずかしいなと思う料理がいくつかあることに気づいた。筆頭はたまご料理。目玉焼き、たまご焼き、ゆでたまご、スクランブルエッグ、オムレツ。どれも難しい。 基本は半熟が好きだけど、弁当に入…

まつりばやし

仕事の帰り、少し寄り道をしたら遠くから祭囃子が聞こえた。9月も半ばに入って少しずつ秋めいてきた今日この頃。残暑がまだまだ厳しい日々の中で、笛や太鼓の音が鳴る。夕焼けの空に混ざるそれが少しだけ胸に迫るような、郷愁のような、焦燥のような、懐かし…

朝のはじまり

朝に弱い。低血圧と低体温と眠りの浅さによる慢性的な寝不足から頗る朝に弱い。でも会社というコミュニティに所属して雇われているからには嫌でも起きて家を出なくてはいけないので、起き抜けの30分ほど布団の中でじっとしている時間を確保するために早くに…

書くにあたって

作ったまま何を書こうかと悩んで今になったこの場所。今日を機に書いていこうかと思い立つある秋の朝。見切り発車はいつものこと、今度はいつまで続くだろう。ねぇ、いつまで続くと思います?って友人たちに訊いたら「ある日突然現れてある日突然いなくなっ…