夜の柩

語るに落ちる

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

冬将軍の足音が響く

めっきり寒くなった。冬に着々と向かっている。今週のどこかで雪マークがついていた。少しずつ布団から出るのがつらくなる季節がやってくる。少し前に毛布を引っ張り出して、家にいる間はほぼそれに包まる日々を送っている。冬がくるんだなぁ。長くて寒い冬…

眠る前の与太話

今更ではあるけど2021年って数字が世紀末感漂っていた気がしないかっていうどうでもいい話。更にいうならそもそも21世紀って言葉自体が世紀末感ある。 そんなどうでもいい話だけど、存外酒の肴にするにはこういうネタが丁度良い。毒にも薬にもならない、まし…

進む歩幅よりさがる歩幅が大きい

何かを変えたいと願い、動いた先で、またどん底に叩き落とされる。昔から変わらない。願うだけ無駄だと足を引っ張る何かが必ずある。それでも死ぬまで動かない訳にはいかないから、限られたできることをするだけ。 世界は残酷だと嘆く人たちは、世界に何を期…

何も知らない繋がり

離れがたいとか、もう少し話したいとか、別れ際に名残り惜しむ気持ちがあるくらいで丁度良いのかもしれない。その方がふとした時にどうしてるかなって思い出せる。 顔も名前も何も知らない誰かとそれらを知らないまま仲良くなりたい。それ以上でもそれ以下で…

十人十色を超えている

夏の憂鬱を溶かした炭酸の気泡が弾けて消える。神様は白日に散った。愛は容易く手を離れる。今はただひっそりと、もう見えないその尻尾が消えた先を見送っている。 愛の形や在り方があまりにも多すぎる。どれもが正しくてどれもきっと正しくない。人の数だけ…

勝手に期待して、勝手に裏切られた気持ちになって

『東京は愛せど何もない』 丸の内サディスティックの歌詞にあった一文。それは全てを手にしているから何もないと思うんじゃないのかって。元から何もなければ東京はやっぱり都会で、便利で、何でもあって、憧れと妬みの坩堝なのだろう。そこにいてたくさんの…

フロム、ダウントゥダスク

急がなくても明日は来るし、逃げなくても夜は来る。わかっているけど、今この時にもう少し留まってくれてもいいじゃないかって思う。 明けない夜に漂う日を夢見ながら、少しずつ白んでいく空に絶望する日々に安堵する。変わらない日常。当たり前の理。結局は…

瓦解するピサの斜塔

手許になくても生きていけるものばかりが足元に散らかっていて、さっきからそれらを踏んで歩いている。いつか踏んでしまったものものを思い出して懐かしむ日は来るのか来ないのか。なんとなく摘んで拾い上げたひとつが、一体いつからここにあるのかわからな…

笹舟流し

記憶のひとつひとつが重くて、ずっと抱えていると時折苦しくて堪らなくなる。それでも手放すことができないから、どうにかこうにか持ち方を変えてみたり、積み上げる場所を分散させてみようと試みるけどなかなか上手くできない。 重ねてきた行為の結果で今が…

無神論、有神論

神様ってなんだろう。 神様。本当に存在していることを証明することはできないのに、存在していないことを証明することもできない。それなのに、困った時や窮地に立たされた時には真っ先に祈りを捧げる対象。全知全能を謳いながらその実、直接手を差し出した…

流れて流されて

一ヶ月経つのが早いのなんの。瞬きしている間に過ぎている。一年も残り二ヶ月と十日。きっとこれもすぐに過ぎて、あけましておめでとうございます、なんて言った矢先にまた一年が通り過ぎる。その繰り返し。 時間って水みたいなものだと思う。流れるっていう…

雑多な広告と電子音

いつだって情報過多な世界だと思う。文献や口頭が主だった方法の時代から映像や音まで残すことが可能になった現代。何にでも名前や理由をつけたがる。暴かない訳にも残さない訳にもいかないらしい。不安を消すための理由を探す過程で不安を煽られている。そ…

寝たふりと死んだふり

『眠り』についてたびたび考えている。 動いて話して目まぐるしく周囲の情報を受け止めて何かを創造することが『生きる』という意味なら、眠ることはその逆で、何よりも死に近い行為なのではないか。これは生産性の有無で見た時の話。それなら夢というものは…

ある朝、駅のホームにて

朝の地下鉄は人がひしめき合う。狭いなりに一定の間隔を保って二列に並ぶ群れ。眠そうな目をこする背広のサラリーマン、ずっと端末をいじる人、友だちとテストの範囲を確認する学生、キャリーバッグを引いて旅に行こうとする人。その列を通り過ぎて、比較的…

夢と現の狭間に微睡む

最近、よく夢をみる。 夕暮れに差し掛かる太陽。何もない一本道を歩き続けている。どうしてこんなところを歩いているのかわからない、どこへ向かっているのかもわからない。ただ、着の身着のままで歩いている。人もいない。動物もいない。何も持っていない。…

遠く雲はたなびいて

部屋が寒い。日に日に冷えていく。まだ暖房をつけるほどでもなく、着込めば何とかなる気温であることは救いだと思う。厳冬の地にいると暖房費は馬鹿にならないからぎりぎりまで耐えたい気持ちと、もう負けてぬくぬくしてもいいんじゃない?という気持ちとが…

ただ甘えている

誰かのためにを免罪符にするのは狡いだろうか。 例えば家族のために、友人のために、好きな人のために、今関わってくれている人のために、いつか死ぬ自分のために。そうして動いていることが誰かをさみしがらせることに繋がるとわかっているけど、それも込み…

形のないものに価値をみる

何者にもなれないなら何者にもならなくていい。『特別な何者』かに理想を詰め込み過ぎている。その理想以外を認められないなら地獄なんじゃないのかなって思うけど、『特別な何者』かになりたくて、あるいはそういう称号のようなものがほしくて躍起になるん…

空白は呼吸とイコールか

自分には到底持ち得ない綺麗なものに惹かれる。例えば文章に美しさを求めるならどのような文章が美しいといえるのか。 流れるような文章が好きだ。澱みも滞りもなく、丁度いい速さで会話をするように進む文章。読んでいて疲れないことが心地良く、尚且つ時間…

それを青い春と呼ぶなら

もしも、若かりし頃の初戀を思い出せといわれたら、それはきっときみの形をしている。 授業の合間に横顔を盗み見るように、校内や校外で友人とはしゃぐ背中を見るように、ふとしたことで声をかける一瞬に緊張して心臓が跳ねるように。何気ない学舎の風景の中…

上澄みと沈殿物

忙殺と呼べるほどに予定を詰めれば余計なことを考えずに済む。 疲労感でぼんやりしているうちにコーヒーはすっかり冷めきって、口の中を潤したとしても後味はいつにも増して苦い。いつもまでも口の中に残って尾を引いている。口直しに砂糖やミルクを足したと…

満月の夜に不在の椅子を見つめる

伝える相手を持たずにいる言葉たちを呑み込むたびに、腹の中が少しずつ焼け爛れていく気がした。抽斗から取り出した便箋に一頻り綴ってはインクで塗り潰していく作業を繰り返す。書き損じた一枚がどんどん増えていく。床に散らかるのは原型を留めずにぐしゃ…

春の嵐

何となく手持ち無沙汰で、部屋の片隅で埃をかぶっていた祖父の積ん読に目を向けたら『春の嵐』という本を見つけた。すっかり日に焼けてしまって、紙魚もいて傷んでいて、中身なんてとても読めたものじゃなかったけど、いつだか昔に目を通した記憶がうっすら…

球体の盤上にて

人間が神様の駒のひとつなら、地球はチェス盤だろうか。 その昔、本の貸し合いをしていた人から地球は70億以上の人口を抱えることはできないと聞いた。毎日のように起きる事故や、天災や、大凡100年周期で発生する感染症は地球からひとを間引きするために神…

寄る辺のない夜に

良い意味で雑に扱える存在って大事だな、と思う。そこには信頼関係が気づかれていることが大前提だけど。 酔って管巻いて意味不明な言葉の羅列を並べて絡んでみたり、お互いの悪戯をてきとうにあしらいながら罠に引っ掛かったり引っ掛けてみたり、食べ物でも…

140字の図書館について

SNSはツイッターを愛用しているけど、アップデートするたびに使いにくくなる。一番最初の、リリースされたばかりのちょっと不便さを感じるほどにシンプルな、最低限の機能しかない時が一番好きだった。インスタグラムもそうで、写真の加工も最低限しかないけ…

明日、世界が滅ぶとしても

朝、すごく外が明るくてとうとうこの世界は終わるのかと思った。 窓辺で煙草を喫いながら、なんとなく明日世界が終わるなら今日何をして過ごすだろうと考える。いつも通りに変わらない一日を過ごすかもしれない、誰かに会いに行くかもしれない、大切な人と過…

そこにあって、そこになくて、多分どれも嘘

目に見えるものしか信じない。目に見えるものすら信じない。自分の目さえも信じない。人間の感覚は怪しいものなので、林檎がそこにあればそれは”林檎”でそこに”ある”と思い込む。 本当は林檎じゃないかもしれないのに。本当はそこにないかもしれないのに。も…

期間限定、季節限定、新商品

毎年毎シーズン限定商戦は白熱している。あまりにもふつうに生活の中で見るものだからそれが当たり前になっているけど、考えてみれば毎回新しいものを考えるのってすごい労力だ。商品企画担当って創作者とよく似ていると思う。常に新しいものを生み出して発…

まるで浅瀬で溺れるような

硝子のハートでできた心臓といっても、プラスチックでできたまがいものなので存外強かです。などと冗談めかしてみても割とすぐに心身にガタがくる。例えば過食嘔吐を繰り返すとか、眠ることが更に下手になるとか、肌に原因不明の蕁麻疹が広がるとか。そうい…